開国の街、伊豆下田で
海の幸を味わい温泉に憩う

静岡・下田

CedynaNews 2018年12月号より

黒船遊覧船「サスケハナ」

下田港発着の黒船遊覧船「サスケハナ」に乗ると、下田湾内めぐりも楽しめる

緑の山々と明るいブルーの海に囲まれた、伊豆半島の南東部・下田。黒船来航の街で、黒潮がもたらす温暖な気候に寛ぎ、グルメと温泉を楽しみます。

下田といえばキンメダイが名物。
まずは伊豆急下田駅から徒歩10分の場所にある港に立ち寄りました。

キンメダイは、金色に輝く大きな目と鮮やかな赤色が特徴の高級魚。

初夏と冬に旬を迎え、脂がのってふっくらとした白身の上品な味わいが人気です。下田港には一度の操業で数トン単位の水揚げがあるはえなわ船が多く、キンメダイの水揚げ量日本一を誇ります。

仕分けの様子

仕分けの様子

「近年では、下田港に揚がる魚は年間約1300トン。そのうち約8割がキンメダイです」と教えてくださったのは、伊豆漁協の飯田さん。

はえなわ船が帰港した日は市場に大量のキンメダイが並ぶので、運がよければその様子を場外から見ることができるそうです。なかでも、小型漁船を使って近海で一本釣りし、その日のうちに取り引きされる「地キンメ」「日戻りキンメ」は、味よし鮮度よしの見逃せない下田ブランドです。

実際に味わってみたくなり、西岸に建つ「磯料理 辻󠄀」を訪ねました。

地キンメ、イセエビの
本格磯料理に舌鼓

磯料理 辻の外観

磯料理 辻󠄀の外観。外からも水槽の様子を見ることができる

「磯料理 辻󠄀」は、地元の海産物問屋が営む、昭和30年頃創業の老舗料理店です。現在は、奥湯河原にある料亭旅館で修業をした三代目のご主人が、料理人として腕をふるっています。

道を隔てた海側に店専用の生け簀小屋があり、アワビやイセエビが入った水槽には常に新鮮な海水が注がれ続けていました。

生け簀には、鮮度を保つために新鮮な海水が注がれている

生け簀には、鮮度を保つために新鮮な海水が注がれている

「刺身に限らず、焼くのも煮るのも活きたものを使えるのがうちの強みですね」と、
ご主人。

キンメダイは手に入る限り地キンメにこだわり、必ず一日寝かして脂をまわしてから調理するそうです。

最初に出てきたのは、金目鯛のしゃぶしゃぶです。刺身でも食べられる身をサッとお出汁にくぐらせ、ポン酢でいただきます。脂の旨みと甘みが口いっぱいに広がり、幸せな気分になりました。

金目鯛のしゃぶしゃぶ

金目鯛のしゃぶしゃぶは、焼いたキンメダイのアラと昆布でとったお出汁も絶品。最後は雑炊にして余すところなくいただきたい

金目鯛のつや煮は、タレをつけながら食べるフワフワの身があまりにおいしくて、骨までかぶりつきたくなる格別な味わいです。

磯料理 辻でいただける金目鯛のつや煮

磯料理 辻󠄀でいただける金目鯛のつや煮。美しい盛り付けもこだわりのひとつ

冬が一番の食べ頃というイセエビは、香ばしい鬼殼焼きで。秘伝のタレがしみたプリプリの身とミソを一緒に味わえば、至福のひとときが過ごせます。

伊勢海老の鬼殻焼き

伊勢海老の鬼殻焼きは、20年以上継ぎ足して使っているという甘辛いタレをからめて、香ばしく焼き上げられている

素材の持ち味を引き出す絶妙なタレの味はもちろん、鮮度のよさもおいしさの秘密なのだと納得しました。

こちらのお店は満席になることが多いため、あらかじめ予約しておくと安心です。

温泉と安らぐ空間で
ゆったり過ごせる宿

緑豊かな庭を眺めながら、ゆったり入れる野趣あふれる露天風呂

緑豊かな庭を眺めながら、ゆったり入れる野趣あふれる露天風呂

日が短い冬の旅では、早めに宿に入ってゆったり過ごすプランはいかがでしょうか。

下田の奥座敷、蓮台寺温泉の「清流荘」は、チェックインからチェックアウトまで21時間あり、思い思いに過ごせる館内施設が充実しています。

「特に源泉掛け流しのお風呂と、一年中利用できる源泉プールを目当てにいらっしゃるお客様が多いですね。プール上がりに入れる、古代ローマの浴場スタイルを再現したミストサウナも人気です」と教えてくださったのは、フロントの鈴木さん。

一年中利用できる源泉プール。ライトアップでよりムーディな雰囲気に

一年中利用できる源泉プール。ライトアップでよりムーディな雰囲気に

客室には、お香と可憐な生け花のおもてなしがあり、上質な時間が流れていました。

眺望のよい2階のリスニングコーナーには宿が開業した78年前から使われているステレオがあり、クラシックやジャズの名曲を聴くことができます。その奥行きのある音に魅せられて、再訪される方もいらっしゃるそうです。

客室や旅館のいたるところに女将による生け花が置かれ、おもてなしの心を感じることができる

客室や旅館のいたるところに女将による生け花が置かれ、おもてなしの心を感じることができる

開業当時からあるステレオ

開業当時からあるステレオ

建物や調度品にも開業当時のままのものが多く見られるのに、決して古びたところはなく、居心地のよさと贅沢な気分をもたらしてくれます。

宿の下を流れる稲生沢川(いのうざわがわ)沿いには、宿泊者専用の遊歩道もあり、朝食後の散策におすすめです。

いよいよ2018年も残すところ1ヵ月。気ぜわしい日常から少し離れて、今年も頑張ったご褒美に、おいしい海の幸とゆったり過ごせる宿で一年の疲れを癒やしてみてはいかがでしょうか。

掲載している店舗・施設の詳細は
下記HPよりご確認いただけます。

下田クルーズ「サスケハナ」
http://www.izu-kamori.jp/izu-cruise/

磯料理 辻󠄀
http://www4.tokai.or.jp/tsuji/

清流荘
http://www.seiryuso.co.jp

(掲載の情報は、2018年11月1日現在のものです)

取材後記 取材後記
ペリーの黒船のデザインになっているマンホール

移動中に歩いていると、ペリーの黒船のデザインになっているマンホールを発見!
さすが開国の街~!と気分が上がりました。

伊勢海老

磯料理 辻󠄀での撮影中、網の上からこっそり逃走を図ろうした伊勢海老!
直前までお店の生け簀にいたため、元気いっぱいです。

囲碁の名人戦で使用された一式

清流荘では、囲碁の名人戦が行われたことがあるそうで、その時に使用されたものが展示してありました!囲碁好きの方には堪らないのでは!?
宿を訪れた際は、ぜひ注目してみてくださいね。